新人行政書士向け(2)建設業許可業務を受任しよう!
行政書士業務の定番の一つに「建設業許可」業務があります。業際を気にせず仕事ができて、かつ5年おきの許可、毎年の決算変更届、入札に参加するならば経営事項審査、各機関ごとの入札参加資格申請と幅が広がっていく業務です。
ただ、申請書なんて書いたことも見たこともないという場合、突然依頼が来ても引き受けるのをためらってしまいますよね。今回はそうした場合の心の準備のためのコラムです。
他の先生が作成した申請書類を閲覧できる!
1つ目の準備です。まず見たこともない申請書は見てしまいましょう。建設業法13条により、許可関係の提出書類は閲覧できるようにすることが義務付けられています。山梨県の場合、建設業許可業務を行っているのは県庁の建設業対策室という部署になります。こちらで閲覧できます。
(曜日・時間に注意→)https://www.pref.yamanashi.jp/faq/kentai/etsuran.html
突然「閲覧させてください」と訪問しても怪しまれるのではないか?ということは全く無く、信用調査会社さんなどが普段からたくさん利用している(特に決算変更届のシーズンは順番待ちも出るほど混雑します)ので、誰が行っても特に問題ありません。
例えばすでに許可を持っている業者さんから変更の許可や決算変更届の依頼が来た場合は、事前にその業者さんの許可番号を確認、新規であれば同業種の許可業者などの許可番号を確認(→https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/kensetuKensaku.do)し、現地で許可番号を告げるとファイルを持ってきて見せてくれます。
※コピーはできないので、必要なところをメモするなどしてください。また、添付資料は個人情報が多いので見られません。
書類の作成はシステムにおまかせ!
申請書類を見ても、「なんじゃこれ、この様式に入力するの面倒くさそう…」と思うかもしれません。申請書類の様式が各県のHPなどに掲載されていて(山梨県のHP→https://www.pref.yamanashi.jp/kentai/shinsei_yoshiki.html)、WORDやEXCEL形式などでダウンロードできますが、正直これに入力するのは大変です。
そこは様々な民間業者様が提供しているシステムを使いましょう。建設業許可の業務はあまたの行政書士さんが長年従事されていますので、それらの要望を入れたシステムがとても充実・進化しています。入力が圧倒的に楽ですし、エラーチェックやガイダンスも至れり尽くせりで、とにかくミスが減ります。絶対使ってください。費用も各県の行政書士会と提携しているサービスもあったり、低価格で導入できる場合があります。ちなみに私はお隣長野県のワイズ公共データシステム株式会社のシステムを利用しています。
参考になる書籍・動画など
参考になったと思う書籍や研修動画をご紹介します(他にもたくさんあると思うのであくまで個人の感想です)。
「各都道府県の手引」 = これは基本の「き」ですが、他県のものもいくつか見てみましょう。東京都や埼玉県の手引はかなり充実しています。細かいところで取り扱いが違う(例えば経験年数のカウントの仕方などは東京都より山梨県の方が厳しい)ので注意は必要ですが、見比べてみて参考にすると良いと思います。
「行政書士のための建設業実務家養成講座(株式会社税務経理協会)」
= 書籍の紹介です。この本の記載は新規許可の依頼があった場合の手順を、ヒアリングの準備から許可後のフォローまで一つ一つ具体的に記載してあります。東京都の許可を前提に書かれていますが、この本に沿ってヒアリングシートやチェックシート、書類の一覧表などあらかじめ作っておけば、依頼者に対してわかりやすい説明ができますし信頼されると思います。よくできている本だと思います。
「行政書士の学校」
=研修動画です。「一般社団法人行政書士の学校」が提供しています。費用がかかる(3つのプランがあります)のでそこは高いかどうかはご自分で判断してください。私は数十万もかかるような研修(俗に言う「ひよこ食い」でしょうか)よりもリーズナブルでためになると判断して利用しています。
様々な業務を専門の行政書士などが講義する動画がだいたい1本2時間程度にまとめられています。資料も実際に先生方が使用しているものなど公開してくださっています。例えば経営事項審査の添付資料、社会保険関係とか自分ではあまり見たことが無いので、業者さんから「先生、この書類ってどれのこと?」と聞かれても困ってしまうことがあると思います。こういった資料も先生方が実際に集められたものを公開してくれているので、「これですよ」と業者さんに見せることもできます。
お互い頑張りましょう!
これだけ準備しておくとだいぶ自信をもって業務に臨めると思います。それでも実際やってみると細かいところはわからないでしょう。知人の先生に聞いてもいいですし、直接役所に聞いてもいいでしょう。わからないところをよく整理して問い合わせすれば、役所の方も親切に教えてくれます。顔なじみになってしまうのもいいかもしれませんね。
ではお互いがんばりましょう。